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TOHOKU Roots Project とは

2011年3月11日。

TV画面の中の故郷から目を離すことなく見つめ続けていた者。

目の前で割れていく地面に沈む車を見ていた者。

避難した高台からなすすべなく呑み込まれていく街を呆然と見下ろしていた者。

震える手で家族や友人に電話やメールをし続けていた者。

ただひたすらに情報収集をし続けていた者。

物資をかき集め故郷に向かい、言葉をなくした者。

「帰ってくるな、こんな景色を見てはダメだ」と言われ帰れなかった者。

 

電話の向こうの大津波警報のサイレンが耳から離れない者。

やめるはずだった芝居を続けていくことを選んだ者。

すぐに戻って来られると信じて故郷を後にした者。

一日一日を生き、故郷を離れて東京で芝居を始めた者。

 

 私たちは、無力です。あの日、多くの東北を故郷に持つ人間がメディアを通じて流れてくる故郷の惨状に無力さを痛感しました。あの日、東北にいた人間も目の前の惨状になすすべもなく無力さを突きつけられました。9年が過ぎた今、やはり私たちは無力のままです。

いつ帰っても、笑顔の裏には沢山のため息と涙と止まったままの時間がありました。

「復興」という言葉が掲げられ、気持ちは置き去りのまま周りの時間だけが流れていきます。

 

それでも、私たちは今すぐ故郷の力になるものではないという事を知りながら、演劇や音楽という手段を選び、物語を創っています。

 

私たちには現状を変える力はないけれど、故郷も、大切なものも、記憶も、思い出も、想いも、失い続けているのならば、東北をルーツに持つ私たちが東京で創った物語を使い、新しい記憶と思い出を創り続けたい。ここ東京で自分たちに出来ることを探し、今までやってこなかったことをやろうと決めました。東京から東北へ発信し続けようと決めました。

東京で創った公演を東北に持っていくことの金銭的な困難、集客的困難を解決することは容易ではありません。考えるべきことは山のようにあります。毎回、きっと苦労するでしょう。

​それでも、私たちは続けていくことを選びました。

2016年秋にTOHOKU Roots Projectは今後も活動を継続して行く為に「一般社団法人東北ルーツプロジェクト」名義で法人化いたしました。今後は製作・企画を一般社団法人東北ルーツプロジェクトが行います。

 それに伴い、TOHOKU Roots Project というこのプロジェクト自体もカンパニー化し、再スタートを切りました。

 2016年春の『想稿・銀河鉄道の夜』は多くの方にご協力をいただき、支えていただき、応援していただき、公演を終えることが出来ました。福島で、宮城で、岩手で、沢山の「続けてよ」という言葉をいただきました。「新しい灯りがともったね」という言葉をいただきました。出演者が取材を受けた際に、様々な新聞やTVで「東北ルーツプロジェクトはずっと続けていきます」と宣言もしてしまいました。せっかくともした灯を消すわけにはいきません。「続けていく」という言葉を嘘にするわけにはいきません。

 

 一度のお祭りで終わらせずに新しいものを創り続けたい。その為に必要なことを考える。それが『想稿・銀河鉄道の夜』の旅の終わりに辿り着いた「答え」でした。

東京で自信をもって面白いと言える舞台を創り、それを故郷である東北に届けること。

東北公演を行うことで他の地域からも東北の今に興味を持ってもらい、観客を呼び込むこと。

東京を活動拠点とする東北出身の俳優やスタッフが地元での仕事を得られるシステムを作ること。

育ててもらった故郷の東北にそれ以上のものを返すこと。

その想いがあるからこそ出来る作品を東北のみならず、沢山の人に届けること。

そして、私たち自身が東北と「何か」を繋ぐ為のものとなること。

ゆくゆくは東北に演劇と音楽を手段にもっと舞台芸術を根付かせること。

 

それが、カンパニーとして新たな一歩を踏み出した私達がやりたいことです。

 

◆東北TOURも含めたホールサイズでの劇場公演

◆音楽も融合させた小規模公演

◆子どもたちから参加できる演劇や音楽を使ったワークショップ

 

3つの活動を主軸に置いて、東京から東北各地へ、そしてそれ以外の場所へも沢山の物語と経験を届けていきます。

 

メンバーに名乗りを上げた面々は各々他の場所でも活動をしています。自分のやりたいこと、得意なことを生かしつつ、関わり方は人それぞれ。メンバーだからといって毎回出演するとは限りません。メンバーの入れ替わりもあるかもしれません。メンバーに名前を連ねていなくても、がっつり参加する人もいるかもしれません。TOHOKU Roots Project が自由に企画を出し合える各々のやりたいことを実現する場所に、そして故郷を想うことでその力を発揮出来るクリエイションの場所になればいいと思っています。

 

東日本大震災から9年半。

止まってしまった時計はいつかまた動き出すことを信じて、人はいつか必ず立ち上がれる日がくると信じて、私たちは私たちに出来ることを信じて、演劇と音楽の持つ力を信じて、あの日から地続きの「今」と向き合い続けます。

「今さら」ではなく「今から」東京から東北へ。

地道にレールを伸ばし続けて、私たちの汽車を走らせ続けます。

願わくば、沢山のレールが伸びて、沢山の場所へ届けられますように。

 

私たちも、私たちの故郷も、まだまだ果てしない道のりの道半ばです。

この長い旅路をそっと見守っていただければ幸いです。   

   

TOHOKU Roots Project       

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一般社団法人東北ルーツプロジェクト

代表理事 坂野早織

  理事 中川歩美

  理事 大原研二

TOHOKU Roots Project

大原研二

広瀬咲楽

小野崎有香

澤口渉

田中宏樹

​高野絹也

一色彩世

+2

片平圭衣子

坂野早織

​東北ルーツ工房

東北ルーツ音楽室

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