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TOHOKU Roots Projectとは

おぼえていますか。 

2011 年 3 ⽉ 11 ⽇。 

 

TV 画⾯の中の故郷から⽬を離すことなく⾒つめ続けていました。 

⽬の前で割れていく地⾯に沈む⾞を⾒ていました。 

避難した⾼台から呑み込まれていく街を呆然と⾒下ろしていました。 

震える⼿で家族や友⼈に電話やメールをし続けていました。 

電話の向こうの⼤津波警報のサイレンが⽿から離れなくなりました。 

さよならを⾔えずに、⼤切な⼈たちを失いました。 

物資をかき集め故郷に向かい、⾔葉をなくしました。 

やめるはずだった芝居を続けていくことを選びました。 

⼀⽇⼀⽇を⽣き、故郷を離れて東京で⽣活を始めました。 

私たちは、無⼒でした。 

 

あの⽇、多くの東北を故郷に持つ⼈間がメディアを通じて流れてくる故郷の惨状をただ⾒ているしか出来ない⾃分に、⼤切な⼈につながらない電話に、その場にいられない⾃分に、無⼒さを痛感しました。 

 

あの⽇、そこにいた⼈間も⾃然の持つ圧倒的な脅威と⽬の前の惨状になすすべもなく、⼿を伸ばせない⾃分に、⽣きることしか出来ない⾃分に、無⼒さを突きつけられました。 

⽬の前で、画⾯越しで、故郷が壊れていく⾳をただ聞いているしかなったあの⽇。 

⽣まれ育った街や⼤切な場所は「被災地」と呼ばれ、その場にいた者は「被災者」になり、その場にいなかった者は何者にもなれずに⼼の内側に貼られてしまった薄い膜のような何かを破るすべを未だ知りません。 

そして、2020 年がやってきました。

沢山の創作の場に新しいウイルスは入り込みました。

私たちは見慣れた景色を一瞬にして失う怖さも、大切な人たちを突然失う怖さも、帰りたくても帰れない悔しさも知っていたはずでした。

明日が来ることは当たり前ではないのだと、嫌というほど思い知らされたはずでした。

でも、心のどこかで明日は必ずやってくるのだと思い込んでいることに気づかされた 2020 年。

 

きっと誰もが正解なんてわからずに、模索していた日々。

演劇の火を消すな、劇場の灯を消すな、音楽を止めるな、映画を止めるな、様々な意見がありました。TOHOKU Roots Project は、一度止まることを選びました。

 

あれから 15 年。16 回⽬の 3 ⽉ 11 ⽇が来ました。 

新しい道路が出来ました。 

新しい駅が出来ました。 

新しい家が建ちました。 

新しい学校が出来ました。 

新しい街が出来ました。 

新しい役場が出来ました。 

⽴ち並ぶ仮設住宅は復興住宅に姿を変えました。 

新しい鉄道が開通しました。 

そこには新しい⽣活があります。 

あきらめた場所もあります。 

戻れない場所もあります。 

⼤切な⼈を探し続けている⼈もいます。 

震災を知らない⼦どもたちが、すくすくと育っています。 

そして、各地で新しい災害が起こり、「被災地」は増え続けています。 

 

それでも、あの⽇、⼤切な場所と⼤切な⼈たちを失った記憶は消えてはくれません。 

あの⽇に取り残された⾃分を誰もが抱えてこの 15 年を⽣きてきたのかもしれません。 

それでも、私たちは今も演劇や⾳楽という⼿段を選び物語を創っています。 

私たちには起こってしまったことを変える⼒はないけれど、新しい記憶と思い出を創り出すことは出来ます。

 

時に歩みを⽌めることがあっても、⾊々な⼿段で演劇や⾳楽という物語で家族や友達と過ごす新しい思い出と記憶を創り続けたい。そう思っています。 

物語に直接的な⽣産性はないかもしれません。 

数字として⽬に⾒える⼤きな成果は⾒えづらいかもしれません。 

が、私たちは演劇と⾳楽の持つ物語とエンターテインメントの⼒を信じて、⽌まってしまった時計もいつかまた動き出すことを信じて、⼈はいつか必ず⽴ち上がれる⽇が来ると信じて、私たちは私たちに出来ることを信じて、あの⽇から地続きの「今」と向き合い続けます。 

⾃分たちの故郷に⼿を伸ばし、地道にレールを伸ばし続けて、私たちの汽⾞を⾛らせ続けます。 

何があっても焦らずとも⽣きてさえいれば、またいつでも始められる。 

そのこともまた、私たちは 15年前に知ったのです。 

それは強さでもあると思うのです。 

​​

東京で創った公演を東北に持っていくことの金銭的な困難、集客的困難を解決することは容易ではありません。考えるべきことは山のようにあります。毎回、きっと苦労するでしょう。

​それでも、私たちは続けていくことを選びました。

2016年秋にTOHOKU Roots Projectは今後も活動を継続して行く為に「一般社団法人東北ルーツプロジェクト」名義で法人化いたしました。今後は製作・企画を一般社団法人東北ルーツプロジェクトが行います。

 それに伴い、TOHOKU Roots Project というこのプロジェクト自体もカンパニー化し、再スタートを切りました。

 2016年春の『想稿・銀河鉄道の夜』は多くの方にご協力をいただき、支えていただき、応援していただき、公演を終えることが出来ました。福島で、宮城で、岩手で、沢山の「続けてよ」という言葉をいただきました。「新しい灯りがともったね」という言葉をいただきました。出演者が取材を受けた際に、様々な新聞やTVで「東北ルーツプロジェクトはずっと続けていきます」と宣言もしてしまいました。せっかくともした灯を消すわけにはいきません。「続けていく」という言葉を嘘にするわけにはいきません。

 

 一度のお祭りで終わらせずに新しいものを創り続けたい。その為に必要なことを考える。それが『想稿・銀河鉄道の夜』の旅の終わりに辿り着いた「答え」でした。

東京で自信をもって面白いと言える舞台を創り、それを故郷である東北に届けること。

東北公演を行うことで他の地域からも東北の今に興味を持ってもらい、観客を呼び込むこと。

東京を活動拠点とする東北出身の俳優やスタッフが地元での仕事を得られるシステムを作ること。

育ててもらった故郷の東北にそれ以上のものを返すこと。

その想いがあるからこそ出来る作品を東北のみならず、沢山の人に届けること。

そして、私たち自身が東北と「何か」を繋ぐ為のものとなること。

ゆくゆくは東北に演劇と音楽を手段にもっと舞台芸術を根付かせること。

 

それが、カンパニーとして新たな一歩を踏み出した私達がやりたいことです。

 

◆東北TOURも含めたホールサイズでの劇場公演

◆音楽も融合させた小規模公演

◆子どもたちから参加できる演劇や音楽を使ったワークショップ

 

3つの活動を主軸に置いて、東京から東北各地へ、そしてそれ以外の場所へも沢山の物語と経験を届けていきます。

 

メンバーに名乗りを上げた面々は各々他の場所でも活動をしています。

自分のやりたいこと、得意なことを生かしつつ、関わり方は人それぞれ。メンバーだからといって毎回出演するとは限りません。メンバーの入れ替わりもあるかもしれません。メンバーに名前を連ねていなくても、がっつり参加する人もいるかもしれません。TOHOKU Roots Project が自由に企画を出し合える各々のやりたいことを実現する場所に、そして故郷を想うことでその力を発揮出来るクリエイションの場所になればいいと思っています。

私たちも、私たちの故郷も、まだまだ果てしない道のりの道半ばです。 

この⻑い旅路をそっと⾒守っていただければ幸いです。

 

 

追伸:もう会えなくなってしまったあなたへ。 

 

私たちは今⽇もあがきながら、いまを⽣きてます。 

⼦どもたちも⼤きくなりました。 

ぴっかぴかの新しい街が出来ました。 

たまには夢の中でいいので遊びに来てください。 

いつだって待ってる。

 

2026.3.11

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